Youtubeにフランス語落語の動画をアップしました。
ネタは「伏見のキツネ」といいます。有名な「王子のキツネ」を僕が京都風にアレンジしてみたものです。フランス語テキストの添削は僕の大好きなフランス人の先生に頼みました。動画ではフランス語字幕も見ることができます。
このお話はざっくり言うと、人をだますキツネを、逆にだましてみる男のお話です。
オチが日本をあまり知らないフランス語圏の人にはわかりにくいかなと思い、オチには、「写真」を使いました。言葉より、見てすぐイメージしていただけたらいいなと思いました。
動画は「あらすじ」の下にあります。フランス語がお分かりにならない方でも「あらすじ」を見ていただき動画を見ると、雰囲気を感じ取っていただけるのではないかと思います。
【あらすじ】
l’argument en japonais sur l’historie ” Le renard de Fushimi “.
今日(こんにち)、伏見(ふしみ)は千本鳥居(せんぼんとりい)の伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)が有名です。一度は訪れてみる価値はあるでしょう。
千本鳥居のおかげで、観光客も多く、にぎやかです。でも今は残念ながらコロナの影響で静かです。しかし、昔は、伏見稲荷大社の周りはただの片田舎(かたいなか)だったと言います。
ある日、一人の男が境内(けいだい)の祠(ほこら)の横を通ります。彼は一匹のキツネが祠の陰に隠れるのを見つけます。
「へ~キツネがいるんや!見るのは初めてやな~。日本では昔からキツネは人を化(ば)かすっていうよな。気いつけなあかんな。おや?キツネが化けだしたやないか…おお~美人に化けよる!せや、騙(だま)される前に騙(だま)してやろ!」
男が女(キツネ)に話しかけます。
男「こんにちは。」
女「こんにちは。」
男「お元気ですか?」
女「元気よ、ありがとう。」
男「よかったら飲みに行きませんか?いい店知ってるんですよ。あなたがとても美しいので、ごちそうさせてくださいな。」
女「あら、喜んで。」
男と女が店に着き、二階に上がります。男は食い物と酒を頼みます。女は腹がすいてたので、たくさん飲み、たらふく食べます。結局、女は畳の上でゴロンとなり寝てしまいます。
男「ああ~寝ちゃったよ。あばよ!」
男は下に降ります。
男「伏見名物稲荷(いなり)ずしを持ち帰りで頼むわ!」
店員「承りました。」
店員が男に稲荷ずしを渡します。
男「ありがとう、じゃあな!」
店員「すみません、お勘定(かんじょう)お願いできますか?」
男「心配するな。連れがみんな払うから。財布は彼女に渡したよ。彼女、ちょっと飲みすぎ、食べすぎたんで上で休んでるよ。」
店員「承知いたしました。」
一時間後、女がまだ降りて来ないので、店員が2階に上がります。店員はまだ気持ちよさそうに寝て、いびきまでかいている女を見つけます。
店員「すみません、すみません。」
女「むにゃむにゃ…どうしたの?」
店員「お連れ様はもうお出になりました。」
女「そうなの?じゃあ私も出ていくわ。ありがとうね。」
店員「お待ちください。お勘定をお願いできますか?お連れ様がお財布をお渡しになったと言っていました。」
女「財布?・・・ない、ないわ!しまった、あの男騙したわね!!」
女は怒り狂います。再びキツネに化けます。でもこの時は、まるで妖怪(ようかい)です!店員たちがキツネ(女)を捕まえに来ます。殴(なぐ)るは蹴(け)るの大騒(おおさわ)ぎ。なんとかキツネはかろうじて逃げ切ります。
その後、店の主人がキツネを痛めつけた店員を叱(しか)ります。
主人「なんてことをしたんだ!この店が繁盛(はんじょう)してるのも伏見稲荷の神の使いのおかげではないか。あの女性はまさに、お使い姫だったんや!すぐ謝りに行くでぇ。」
主人と店員たちはキツネに謝りに行きます。
一方、キツネを騙した男の友人が彼に言います。
友人「聞けよ。なんてことしたんや。キツネってしつこいです。まちがいなくお前とお前の家族は末代まで祟られるな。」
男「ええ、そんな~。なんてことしてしまったんや。」
男はキツネの祟(たた)りを恐れて、土産(みやげ)を持ってキツネのところに行きます。
キツネの巣はありましたが、子供たちしかいません。
男「すみません。お母さんはどちらに?」
子ギツネ「ママは今出かけてるよ~。」
男「じゃあ、ママにこの土産渡してくれないかな?お詫(わ)びの印なんで。」
子ギツネ「わかったよ~。」
その後、母ギツネが帰ってきます。
子ギツネ「ママ、さっき、男の人来てこの土産置いていったよ。お詫びの印なんだって。」
母キツネ「ああ~私を騙したあの男だね。許せないわ!」
子ギツネは土産を開けます。中にはアンコロ餅(もち)が入っていました。
子ギツネ「わ~い、アンコロ餅、アンコロ餅!ねえママ、食べてもいい?」
母ギツネ「待ちな!気をつけて!馬のフンかもしれないよ!!」
このネタは、あるフランス人の友人のために作りました。
その友人はフェースブックでつながった仲です。ある日彼がメッセージをくれました。
「私は、キツネが好きです。妖怪が好きです。手術をしたばっかりなので(弱っています…)。あなたがする「キツネの話」の動画を私に献呈してほしいです。」
彼の気持ちが嬉しくって、そして彼に元気になってもらいたくって、ネタ作りをしました。最初のメッセージをもらって2か月くらいかかりましたが、ようやく彼にお届けできました。
そして先ほど、彼からお礼のメッセージをいただきました。
とても喜んでいただいたみたいです。よかったです。
まだ手術のお疲れがお残りになっているご様子です。この動画を見て、元気になって欲しいです!
拙いフランス語落語ではございますが、こうやって喜んでいただける人がいることは、励みになります。
もっと稽古をして、より多くの人たちにフランス語落語を楽しんでいただけるようになりたいです。
フランス語落語を通して、日本のこと、京都のことも知っていただきたいです。
是非、Youtube「チャンネル登録」の程よろしくお願い致します。
そして、いつか舞台で「フランス語落語」をやりたいです。
京都・自宅にて。
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